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    イギリスの硬水でボイラーが壊れる

    とある年の3月下旬。冷蔵庫を開けると、真っ暗。「あれ、変だな」と思い、その他家電製品をチェックする。 電子レンジやIHコンロも動かない。部屋の電気も点かない。水は出る。 そこでようやくブレーカーが落ちていることに気づく。 一つずつツマミを上げて戻そうとするのですが、何度やってもブレーカーが落ちる。何も触ってないし、急に消費電力の上がるものも使ってない。なぜだ? まだ寒いとはいえ、長時間冷蔵庫を電源オフにしておくのはとても心配。 少し焦って、どの電化製品が原因でブレーカーが落ちるのかテストしてみたところ、電気ボイラーのツマミをあげるとブレーカーが落ちることが判明。 電気ボイラーはオフにしたままにするとブレーカーは問題なく元通りに。さて、どうやってこの問題を解決しようか、鈍い頭を捻って考え始めます。 電気ボイラーに対応できるElectricianを探す 「鈍い頭を捻って」と書いたのは、当時私は仕事のストレスによるバーンアウト中で、常に頭痛や腹痛、胃痛や吐き気、ヘビーな身体のだるさが続いていたのです。仕事場で何かタスクの説明をされても一度で理解できず、「念の為もう一回確認させて」と必要以上に聞き返すような状態。圧倒的に頭の回転が落ちているのを感じていました。 そんな調子なので、まず何をどうしたら良いのかを考えるのでさえスロー、電気ボイラーに対応できるElectricianを探すのも一苦労といった感じです。とりあえずGoogle検索画面を開き、住んでるエリアに出張に来てくれるElectricianを探し、数箇所めぼしをつけます。 実際の問い合わせでは、普段使わない英単語、しかも日本語でも危うい電気関連の単語を使って口頭で説明するのに手こずる。何件かあたってみたら、ボイラー内に不具合があるんじゃないかというアドバイスで、まずは製造元の電気ボイラー会社に連絡してみることになりました。 電気ボイラー会社に連絡する 電気ボイラーが故障したのが土曜日の朝。ボイラー会社は土日お休みということで電話が繋がらず。取り敢えずその日はカスタマーサポートにメールを送っておきました。 週明け早速ボイラー会社に電話。かくかくしかじか状況を話す。住んでいるフラットは数年前に新築で購入しているので、故障したとしても補償が適応される範囲内。適応されなくても私は払うつもりだったので、すぐにボイラー自体の取り替えとはいかなくても、製造元の会社から誰か担当に点検に来てもらえないかと聞いてみた。 先方の答えは「できない」。主張はこうだ。 これを早口で説明される。 モヤのかかった頭では込み入った質問もできず、「わかりました」と言って一旦電話を切るしかできませんでした。 お湯の出ない日々を過ごす ボイラーが動かないとなると、問題は温かいシャワーが出ないこと。3月のイギリスは春めいてきているとは言え、まだまだ寒い時期です。冷たいシャワーは流石に無理だと思い、電気ケトルでお湯を沸かして体を洗おうと考えます。そこで小さな桶を探しに行くことに。近所のお店で手頃な大きさの桶のようなバケツのような容器を見つけ、買ってきました。 シャワーを浴びたいと思ったら、水道水を電気ケトルでじゃんじゃか沸かします。それをバケツの中に入れ、水とブレンドしてちょうど良いくらいの温度にまで落とし、バスタブの中にそのバケツを一旦置いておきます。 そして、気合いで冷水シャワーで髪の毛を洗います。冷水で手を洗っているのと同じだと考えれば、これは耐えれます。肩とか背中に水がかからないようにすれば問題なし。 その後、準備していた温かい水で身体を洗います。極寒からお湯の世界、この瞬間とても極楽を感じられます。用意できるお湯の量に限りがあるので、配分を慎重に見極めながらボディソープ等洗い流します。まるで自然の中でキャンプをしている気分でした。 Electricianに来てもらう 例年なら4月にあるイースター休暇が3月下旬にずれ込んでいる年だったので、Electricianの手配にも時間がかかりました。予約が取れたのがボイラーが故障してから12日後。その間もちろんずっと冷水シャワー修行してます。 来てくれたイギリス人Electricianは、こちらの様子にも気を使ってくれるとても親切な方でした。状況を説明し、早速ボイラー会社の指示通りPPMを計測してもらいます。実は私もAmazonで安いPPM計測器を買って試していたのですが、それとほぼ同じ数値が出ました。 数値を測ってから連絡してって言われた旨を説明すると、私にも話している内容がわかるようにと、彼の携帯をスピーカーモードにしながらボイラー会社のカスタマーサポートに電話をかけてくれました。彼が再度ボイラーの状況を説明し数値の報告をしたのですが、やはり先方の主張は「今回の故障は補償内に入っていない」の一点張り。 電話を切った後、「会話聞いてただろ?アンフレンドリーなカスタマーサービスだったな?」とため息。今後電気ボイラーが硬水で故障するのを防ぐために、電気で石灰が塊になるのを防ぐwater filterなるものを提案してくれました(日本語では電解式スケール防止装置というらしい)。できることがないので、その日はそのまま帰ってもらいました。 電気ボイラー会社にもう一度連絡 故障の原因は分かった、対応してもらえる範囲もわかった、でも電気ボイラーは直っていない。カスタマーサポートなのに問題解決してくれないじゃん!とイライラが募ってきます。 私の頼み方が悪かったのか、もっと良い説明の仕方とかあったんじゃないか、ぐるぐる考えててもしょうがないので、一旦要点をまとめてメールを送ってみることにしました。 そしたら、今回はGoodwillでボイラーの部品を送ってあげるけど、エンジニアは自分で手配してインストールしてね、とのお返事。部品っていうから小さいアイテムかと思ってたら、数日後どデカいダンボールで部品が届く。中を確認するとボイラーの中に設置する電気コイルでした。 Water filter設置と電気コイルの交換をしてもらう ようやく解決策が出揃い、前回来てもらったElectricianの方に設置のお願いをすることができました。Water filterを設置してもらうと、水道水でお湯を沸かしても石灰が発生するのが抑えられているのが目に見えてわかります。メンテナンスも10年に一度でいいそう。ただこれは浄水しているわけではないので、水道水は一旦ブリタのポット型浄水器を通して、飲み物や料理に使っている感じです。 電気ボイラーのコイルを交換してもらった時は、「このBeast(ケダモノ)を見てごらん、これは壊れてもおかしくないよ」と中から取り出したコイルを見せてくれました。コイルの周りには泥のようにも見える灰色の石灰がびっしりとこびりつき、沈没した海底の船を連想させます。私も思わず「うぁぁ」と唸ってしまいました。 ボイラーが元通り動き出して温かいシャワーが浴びれた時は、テクノロジーの有り難さをひしひしと感じました。シャワーひとつで生活がこれほど便利で快適になるのですね。万が一またボイラーが壊れることがあったら、きっと近くのジムにシャワー目的で短期的に入会すると思います。金銭的に余裕があれば、Airbnbみたいなところに一時的に移り住むのもありかと思いました。 今までシェアフラットからスタジオと数々の物件に住んできましたが、硬水が原因のボイラーの故障は初めてです。ということは、よその物件は自分たちですでに水道管に石灰を除去する対策を何かしら施してたのかも?次住処を変えるときは、PPM計測器を持参して内見に行き、実際に蛇口から出てくる水の硬水度も計ってから引っ越しを考えようと思うようになったくらい衝撃的な出来事でした。

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