電光掲示板には、いつまで経っても私たちの電車のプラットフォームが表示されません。周囲ではスペイン語のアナウンスが流れ、人々が一斉に移動を始めます。ですが、私たちには誰がどこへ向かっているのかわかりません。セビリア行きのチケットを握りしめて、電光掲示板と人の動きに交互に目を向ける私たち。
マドリードのAtocha駅へ
マドリード滞在のあと、スペイン南部のアンダルシア地方の都市セビリア(セビージャ)にも足を伸ばしました。宿をチェックアウトし、Atocha駅に向かいます。長距離電車が発着する改札を通る前に、空港であるような手荷物検査があるので、時間に余裕を持って駅に着いていることをお勧めします。前日トレドに向かう際、時間ギリギリに駅に到着して冷や汗をかいた私たちは、2時間前には駅に着いてコーヒー休憩を取ることにしました。
表示されないプラットフォーム
手荷物検査も無事終え、プラットフォームが表示される電光掲示板の近くでお知らせを待ちます。他の電車の案内が着々と進む中、文字が切り替わるたびに何度も頭を上げるが、私たちの電車は出発時刻が近づいてもプラットフォームは未定のまま。周りはスペイン語だらけ、英語のアナウンスはあったか、もしくはとても限定的だった気がします。他にも数本電車の遅れがあり、駅のスタッフがどこどこ行きはこちらですよと口頭で案内をしだしました。もちろん私たちは案内を理解することができません。
痺れを切らした私は、近くに列を作って並んでいた人の中から、声をかけやすそうな年配男性に話しかけます。電車のチケットを見せながら、英語で「セビリア行きの電車を待ってるんだけど、この列はセビリア行き電車の列ですか?」と聞いてみました。私の英語を理解してくれたのか、チケットのSevilleという文字を見て理解してくれたのか分かりません。男性はNoと答えたあと、「この列じゃないよ」と身教えてくれました。さらに電光掲示板を確認し、「あなたの電車はまだ案内が出てないから、ここで待つといいよ」とスペイン語と身振り手振りで教えてくれました。
男性にグラシアスとお礼を言い、電光掲示板の真ん前に戻りました。予定してた電車が来ない、しかも言葉がわからない。電車に乗れないんじゃないかとだんだん不安になってきます。すると、駅の女性スタッフがメガホン片手にアナウンスしながら歩いてくるのが見えました。反射的にそのスタッフにかけより「Seville?」とチケットを見せます。「9番プラットフォームの列に並んでね」と女性スタッフ。ようやくプラットフォームを確認することができました。スペイン語を理解する人たちは、すでに長い列を作っています。電車に乗り込めた時はホッとしました。30分ちょっと遅延して出発です。
車窓から変わっていく景色を観察
マドリードを出発すると、車窓から見える風景はますます乾いた色に変わっていきました。ブログトップの画像は車窓からの一枚です。若干砂漠を彷彿させます。
規則的に植えられた低木はブドウの木かしら?芝などは、高温のため干上がって黄色くなっていました。枯れた植物の間から、ところどころ赤茶けた地面が見えます。
ときおり見える線路沿いに立つ住宅も、イギリスの建物と全然違います。ベージュや白っぽい色の壁にレンガ色の三角屋根が印象的でした。そして同じスペイン国内を移動しているのに、別の国に近づいているような感覚です。
セビリアの熱気
暑い、とにかく暑い。駅を出ると、上からは太陽の熱、下からは照り返しの熱でサンドイッチされます。マドリードからさらに南下して、地理的にもアフリカ大陸に近いところなので、この暑さは不思議ではありません。湿気がないので、汗がベタベタまとわりつく不快感は少ない。モロッコのマラケシュで暑い思いをした記憶がフラッシュバックしました。
公共交通機関を使っても歩いても、お宿まで同じくらい時間がかかりそう。なら街の景色を見ながら、ゆっくり歩いて行ってみようじゃないかと私たち。35度ある中を20分ほど歩く決断をします。はい、チャレンジャーですね。35度の中を20分歩くのは、涼しい日の20分とはまったく別ものでした。
ひとけのない住宅街を抜け、大通り沿いに旧市街に向かいます。ちょうど学校の終わる時間帯だったらしく、親御さんたちが子どもたちをお迎えしている賑やかな様子にも遭遇しました。旧市街に近づくと、建物の様子がさらに歴史を感じるものになり、見かける観光客の数も増えていきます。
お宿にチェックインした後は恒例のエアコンタイム。生き返ります。体力を充電させながら、スーパーのロケーションと夕ご飯を食べるレストランを検索。移動でお昼を食べるタイミングを逃した日だったので、お腹もぺこぺこです。美味しそうなスペイン料理屋さんに目星をつけて、まだ太陽が高くのぼる夕方の街にくりだしました。
朝までいたマドリードとは、空や建物の感じも、人の流れも違っていました。電車に乗れるか不安になっていた数時間前のことが、もうずいぶん前のことのように感じられます。セビリアで最初に覚えたのは、有名な建築物でもフラメンコでもなく、駅を出た瞬間の乾いた熱気でした。
